ファシリティマネジメントのファシリティとは

英語の一般名詞である「ファシリティ(facility)」には「施設、設備、機能、才能」などの意味があります。

ただ当然ですが、言語の範囲のずれがあり、日本語の「施設」とはぴったり一致しません。

ファシリティマネジメントのファシリティとは、『公式ガイド ファシリティマネジメント』(日本経済新聞出版社, 2018)によれば、以下のように説明されています。

  • 「施設とその環境」であり、人々が活動する「場」
  • 土地・建物という「施設」だけではなく、「その環境」として、内部環境、外部環境、情報環境の3つがある
  • 内部環境は、人が働き、利用する執務環境・生活環境
  • 外部環境は、近隣、地域社会、都市・地方、国、地球環境
  • 情報環境は、物理的環境に制約されることのないICTを利用する環境

また、ISO 41001の日本語訳であるJIS Q 41001の解説には、

「FMとは、人が built environment にどのように関わるのか、ということであり、ファシリティが built environment に対応する。

built environment の訳として “公式ガイドFM” では “施設とその環境” としており、JISでもそれを適用した」

と書かれています。

この説明によれば、「ファシリティ(facility) = built environment = 施設とその環境」となります。

一般的には built environment は構築環境、建造環境、人工環境(「自然環境」natural environment に対して)などと訳されるようです。

ISO 41011:2017(en) Facility management — Vocabulary (ISO 41011 -ファシリティマネジメントー用語集)には、以下の用語の定義が書かれています。

  • facility – collection of assets which is built, installed or established to serve an entity’s needs 「事業体のニーズに応えるために建設、設置または設立された資産(アセット)の集合」
  • built environment – collection of buildings, external works (landscaped areas), infrastructure and other construction works within an area 「建物、外構(景観)、インフラなど、ある地域内の建設物の集合」

ISO 41011 は2017年に発行されており、2023年に改定が予定されていますので、あくまで想像ですが、施設と「その環境」に関して情報環境の追加等、定義の拡張があるかも知れません。